一体どこに使うのだろう?
軽く土を掘ってそこに原っぱユニット(オオバコ)を設置すれば,その日からオオバコ群落ができてしまいます。オオバコはよく踏まれるような場所に生育する植物です。様々な展示会で展示をしましたが,多くの方々から花でオオバコ相撲をやったとか,薬(咳止め)になるなどのお話を伺いました。かくいう私も,その当時は相撲界最強のオオバコを探しにあちらこちらをうろうろした記憶があります。
...しかし,実際の話,一体どこに使うのだろう?
人とオオバコのかかわり
オオバコ(大葉子,Plantago asiatica)はオオバコ科オオバコ属の多年生の在来植物です。オオバコは日本全国に分布し,道端や公園,田んぼのあぜ道や農道の轍まわりのような適度に人に踏まれ,日向から半日陰の環境でよく見かけます。
このように,オオバコは私達の生活周辺に分布し,子供の頃から身近な植物として親しまれています。子どもの頃,オオバコ相撲を経験された方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。オオバコは別名"相撲取り草"とも言われるんですよ。
また、オオバコには様々な効用があるため,薬草やお茶として利用(オオバコ茶)されたり,ウサギやカメのエサとしても利用されています。
こんなところに生えています
オオバコにとって,田んぼのあぜや農道,堤防道路の轍まわりは得意な場所です。水気が多くじめじめしている場所も得意。
こどもたちが走り回る公園の遊具まわりにも生えています。オオバコ最強!
原っぱユニット(オオバコ)の裏面は根が充実しています。
原っぱユニットにもいろいろありますが,オオバコの場合,裏面には根が充実しています。そのため,設置場所を浅く掘って土を被せて水をやれば,ほぼ確実にオオバコマットを定着させることができます。また,マットの厚さは3cm程度と薄いため,屋上緑化や土壌の少ない場所でもオオバコを植栽することができます。
動物園に試験植栽してみました。
2014/7/18
動物園では生き物は限られた範囲で飼育されているため,草食動物でなくても展示施設では踏圧などで植物が枯れて裸地となってしまう場合が多くあります。一度裸地が形成されてしまうと,植物はなかなか定着することができません。こうした場所ではマット状苗で,一度に緑化する方法が適しているのではなかと思います。
ある動物園に試験的にオオバコマットが設置されました。ここではリスが飼育されており,広い範囲で裸地が形成されていました。オオバコマットがどの程度実用に耐えうるか,とても興味がある試験でした。
(追記) 2014/10/14
. ...しばらくして,状況について聞いてみたところ,食べられて無くなったそうです...orz。(2014/10/14 木村保夫)
(追記) 2014/11/21
その後,別の水族館の動物展示施設でも試験的に設置していただきました。....すぐに動物にひっこ抜かれてしまったそうです...orz。動物園などの展示施設への植物の導入は要望はありますが,動物による踏みつけ,被食,堀取りがあり,展示担当者は頭を悩ませている課題のようです(私も頭を悩ませています)。その動物にあった植物種の検討や,引き抜かれない工夫などについて検討してみたいと思います。(2014/11/21 木村保夫)