雑草のたね(緑化用)
大面積を対象とした場合,種子吹付工は安価な方法といえます。エスペックミックでは種子吹付でも良く発芽する在来種の種子としてメヒシバ,カゼクサ,チカラシバの取り扱いをはじめました。メヒシバは日本全国の空き地に成育するイネ科の一年草です。発芽率が高く初期成長が早いので,速やかに緑化を行いたい場合には有効です。ただし,メヒシバは一年草ですので冬は地上部,地下部ともに枯れてしまいます。カゼクサとチカラシバは日本全国の空き地に成育するイネ科の多年草です。良く発芽しますが,メヒシバよりもゆっくり成長します。冬は地上部は枯れますが地下部は残りますので,翌年は地下部から植物が出芽,成長します。チカラシバは鹿の不嗜好性植物としても注目されています。状況に応じて一年草と多年草のこれらの3種類を組あわせることで在来種でも緑化ができるようになりました。
緑化用の在来種の種子の入手についてはTELあるいは メール にてお問い合せ下さい。
※)メヒシバ,カゼクサ,チカラシバ以外の在来種の種子についてもご相談下さい。
メヒシバ(Digitaria ciliaris)
メヒシバは日本全国の道端や畑地に生育するイネ科の一年生草本です。しばしば大群落をつくりますから,大量の種子を集めることができる植物の一つです。メヒシバは発芽率もよく,種子の吹付や植生シートでよく発芽します。
カゼクサ(Eragrostis ferruginea)
本州,四国,九州の空き地や道ばた普通に生育するイネ科の多年生草本です。種子は発芽率が高く初期成長の早い植物です。踏圧に強くグラウンドの隅に多く生育していることがあります。カゼクサは多年草において私たちが最も有望だろうと注目している植物です。野外で種子を採集することが大変なので,エスペックミックでは圃場に採穂園をつくり種子を安定供給できるようにしまいた。
チカラシバ(Pennisetum alopecuroides)
日本全国の道ばたなどに普通に生育するイネ科の多年生草本です。秋になるとタヌキの尻尾のような穂を出します。法面に群落をつくっていることもあります。近年シカによる食害が各地で問題となっていますが,どうやらチカラシバはシカが好んで食べない植物のようです。種子が大きく発芽率も高いため,法面緑化には有望な植物です。エスペックミックでは圃場に際穂園を設けて種子を安定供給できるようにしました
播種時期はいつ頃が良いか?
最適な発芽時期は植物の種類や施工する場所,あるいは環境条件によって異なりますので一概には言えませんが,メヒシバ,カゼクサおよびチカラシバの場合,植物の発芽成長を考えると,4月~8月末頃までに播種すれば発芽成長します。冬期に播種を行った場合には翌春に発芽することとなりますが,種子吹付の場合はその間に降雨によって種子が流出してしまう場合がありますので,そうした場合には
在来種で緑化シートなどを用いると良いでしょう。
1月5日の状況。設置直後。
5月29日の状況。設置から4ヶ月後。
チガヤやススキの種子吹付は意外に難しい
チガヤやススキ草地を種子吹付で創出したいというお問い合せを多く頂きます。しかし,現時点ではチガヤやススキの種子吹付はなかなかうまくいかないことが多いようです。
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草地を創出する場合はそれほど多くの種子は必要ない?
一般に法面を緑化する場合,発生期待本数は 5,000~10,000本/㎡ に設定されているようです。これは 1.4cm~1.0cm四方に1本の植物が発芽成長する計算となります。法面緑化の場合は表土の浸食を防ぐために,速やかな緑化が必要になりますが,平地に草地を創出する場合には,この発生期待本数で過密状態になってしまいますし,費用も多くかかることになります。表土の浸食の心配が無い場合には,1,000~2,000本/㎡ 程度の発生期待本数でも十分に草地を創出することが可能です。右の写真は発生期待本数 1,000本/㎡ の密度(2.2cm~3.2cm四方に1本の密度)で吹き付けを行った場合の在来種の発生状況です(カゼクサ,メヒシバ,エノコログサ)。ただし,土壌条件によって発芽やその後の成育状況は異なります。