シカ不嗜好性植物による緑化と防災


 シカによる食害の影響を受ける場所で生育する植物はシカ不嗜好性植物と採餌耐性植物に区分することができます。こうした植物については様々な文献に記述がありますが、エスペックミックでは文献値を参考に、実際に法面緑化に利用できそうな植物を抽出し食害が問題となっている地域で試験施工を繰り返しています。その結果、こうした場所では日本の在来種でしかできない緑化があることが分かりました。日本には多様な植物が生育しています。そうした植物の特性を活かすことで、シカによる食害がある場所でも緑化を行うことができるようになってきました。上の写真は複数の植物を組み合わせることで緑化を行うことができた事例です。シカの食害によって生じた裸地は表土流出を誘発します。防災の観点からも、緑化が必要になります。


商品一覧


シカの食害を受けて裸地となった法面の浸食を防止するためには、速やかに植物を定着させなければなりません。現場に植物を導入する方法ためには様々な方法がありますが、エスペックミックでは、植生シートや植生マットではなく、緑化を目的として現場の状況に応じた様々な方法を提供しています。

萱株苗(かやかぶなえ)

萱株苗は、萱株に替わるススキの苗です。これまで現場では周囲に生育するススキの株を掘り取って用いる萱株が主流でした。しかし、現在はススキの採集が困難であったり、採集に手間がかかり過ぎるなどの問題が生じています。そこで、萱株の代替となる商品として萱株苗を販売しています。苗は小さくて植栽や容易ですが、種から生産しているため、地下部と地上部のバランスがとれているため、萱株よりも良好に成長します。

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エスペックミック(株)|萱株苗

大型ルートボール

ヤシ繊維基盤で育成させたススキの大型苗です。大型ルートボールは当初、水生植物の植栽のために開発された特殊苗ですが、ポット容器を仕様ぜず軽量です。また、形崩れしにくいため竹串で地面に固定したり、釘やコースレッドで苗を丸太柵に固定できるため、植栽した苗が流出し難かったり鹿による食害で引き抜かれにくかったりするなど、治山の現場において最適な苗です。萱株苗よりも大きいため、乾燥に強く植栽した植物が速やかに大型に成長します。

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エスペックミック(株)|萱株苗

ススキペレット種子

表土が乏しく貧栄養な環境の緑化にはススキが適しています。しかし、ススキの種は吹付を行っても様々な要因から発芽率が悪く安定した緑化が困難でした。しかし、日本国内で採集したススキの種子は良好な発芽を示すため、野外でも安定してススキを発芽定着させるための方法としてペレット種子を開発しました。ペレット種子は重量があるため風で飛ばされないだけでなく、ペレットに用いた特殊な素材が水分を保持するため、良好な発芽を得ることができます。特に広範囲な緑化に適しています。

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エスペックミック(株)|ススキペレット種子

種子

在来種は種子が確保し難い上、施工してもほとんど発芽しないというイメージがありました。これは適切な植物が選択されていなかったことに起因しています。適切な植物を利用すれば日本の在来種でも外国産の植物と同等レベルで速やかに緑化を行うことができます。エスペックミックでは緑化に適した植物を見つけ出し、それらを圃場で大量に生産することで国産の種子を安定供給することを可能にしました。

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エスペックミック(株)|種子吹付/客土吹付

種子吹付/客土吹付

種子あるいは植生基材とともに種子を吹き付けることで緑化を行うことができます。種子吹付/客土吹付の利点は短期間に広い面積を施工することが可能なことと、種子が地面と密着することで高い発芽率を期待することです。エスペックミックは緑化業者と提携することでシカ不嗜好性植物による緑化を行うことができるようになりました。緑化用の在来種の種子の入手についてはTELあるいは メール にてお問い合せ下さい。

エスペックミック(株)|種子吹付/客土吹付

在来種で緑化マット/緑化シート

シカ不嗜好性植物配合した切土法面用の製品で肥料帯が付いており、栄養分の乏しい切土法面においても浸食を防止しつつ緑化を行うことができます。盛土法面の場合には肥料帯の無いシカ不嗜好性植物を配合した在来種で緑化シートを用いることができます。植生マットの利点は種子吹付の機械が搬入できない場所でも施工を行うことができたり、浸食防止効果の高い基盤があることです。

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エスペックミック(株)|在来種で緑化マット



シカ不嗜好性植物による緑化事例


 シカ不嗜好性植物による緑化事例について紹介します。試験施工からは様々な課題と効果が確認され、鹿が好まないということだけではなく、養分の要求量が少なかったり、乾燥に強かったり、あるいは日陰でも生育できるという多様な在来種の特性を活かすことで、従来用いられてきた牧草類では困難であった緑化が可能となりました。




緑化に使用する植物の種類


エスペックミック(株)|ススキ

ススキ(Miscanthus sinensis)

日本全土の山野や草原にふつうに生育するイネ科の多年草。シカ不嗜好性植物。他の植物が育ちにくい貧栄養立地でも良好に生育する。エスペックミックでは特にススキに力をいれて商品開発を行っています。

エスペックミック(株)|チカラシバ

チカラシバ(Pennisetum alopecuroides)

日本全国の道ばたなどに普通に生育するイネ科の多年生草本です。秋になるとタヌキの尻尾のような穂を出します。法面に群落をつくっていることもあります。チカラシバは種子が大きく発芽率も高いため,法面緑化には有望な植物です。シカ不嗜好性植物の一つです。エスペックミックではチカラシバを生産し種子を安定供給しています。

エスペックミック(株)|カゼクサ

カゼクサ(Eragrostis ferruginea)

本州,四国,九州の空き地や道ばた普通に生育するイネ科の多年生草本です。種子は発芽率が高く初期成長の早い植物です。踏圧に強くグラウンドの隅に多く生育していることがあります。文献では採餌耐性植物と位置付けられています。エスペックミックではカゼクサを生産し種子を安定供給しています。

エスペックミック(株)|ヤマカモジグサ

ヤマカモジグサ(Brachypodium sylvaticum)

北海道、本州、四国、九州の山野に普通に生育するイネ科の多年草。シカ不嗜好性植物。

エスペックミック(株)|クララ

クララ(Sophora flavescens)

本州、四国、九州の日当たりのよい山野や草地に生育するマメ科の多年草。とても苦いため放牧地などでも生育する。シカ不嗜好性植物。



不適切な植物種の導入は法面の浸食を助長します


シカの好む植物種を緑化に使用した場合、植物がシカの食害を受けるだけでなく、シカが法面を歩くことによって植生マットが破けたり法面が崩れたりする状況となります。そのため、シカによる食害の影響を受ける場所では導入する植物の選定が非常に重要になると考えられます。

写真はメヒシバを導入したことにより著しくシカの食害を受けた状況です。
エスペックミック(株)|シカの食害により崩れた法面