エスペック株式会社様
神戸R&Dセンター
~地域種を用いた草地の創出~


エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化

新技術開発棟の屋上緑化


エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化
エスペック神戸R&Dセンター(兵庫県神戸市北区)の敷地内に建設された新技術開発棟の屋上に面積およそ400㎡の草地を創出しました(写真左)。新技術開発棟建設予定地はもともとは芝地でしたが、建設に伴って、より生物多様性の高い緑地で代替することができました。一方、折半屋根で耐荷重の小さい範囲は空からでもespecの位置が分かるように、芝とともにespecのロゴを設置しました。


六甲北部の在来種


屋上緑化の基盤となる植物として芝とチガを配置して、そこに六甲北部の畦畔に生育している30種以上の植物を植栽しました。六甲北部の植物は種子を採集し(一部は苗を採集)、エスペックミックの圃場で播種育成した苗を用いました。六甲北部の畦畔の草地には様々な植物が生育していますが、これらの植物は定期的あるいは不定期な刈り取り管理に依存しています。今後、農業従事者が高齢化したり、メガソーラーの開発が進んだりすると、貴重な畦畔の草地とそこに生育する植物が消滅する可能性があります。エスペック神戸R&Dセンターの草地にでは定期的な管理の下、これらの植物の保全を行っています。



エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化|スズサイコ スズサイコ

エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化|ワレモコウ ワレモコウ

エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化|コマツナギ コマツナギ

エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化|ハナウド ハナウド

エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化|ウツボグサ ウツボグサ

エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化|キキョウ キキョウ

エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化|ヤブカンゾウ ヤブカンゾウ

エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化|ノアザミ ノアザミ

エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化|キキョウ アキノタムラソウ

エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化|タチツボスミレ タチツボスミレ

エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化|カンサイタンポポ カンサイタンポポ

エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化|リンドウ リンドウ

屋上緑化


エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化|原っぱユニット
屋上緑化では荷重に制限がありますので、基盤は薄くで軽量であることが求められました。今回は底面潅水装置が付いた屋上緑化ユニットを採用しました。屋上緑化ユニットはプラスチック製で耐荷重が高く軽量土壌を充填した後でも、上を歩くことができます。そこに、圃場であらかじめ育成させた原っぱユニットを設置しました。圃場に屋上と同じスケールの配置で原っぱユニットを育成させ、それを切り出して屋上に設置することで、短期間で草地を創出することができました。


自然な植物の配置の工夫


今回はではできるだけ自然な風景を創出するために植物の配置を工夫しています。中央に周囲より一段高い畦道を設けて六甲北部の畦畔をイメージするとともに、植物の配置をそれぞれの植物の繁殖方法に基づいて決めました。例えばノアザミであれば種子は風散布であるためランダム分布として配置し、ヤブカンゾウであれば地下茎による栄養繁殖が卓越しているため、まとまった植栽としました。これらの分布パターンをコンピューターでシミュレーションして配置を決めました。ただ、コンピューターによるシミュレーション結果だけでは、好ましい風景とならない場合がありますので、植栽を複数のレイヤーに分けて、一番上層のレイヤーを修景レイヤーとして人為的な植物の配置を行うこととしました。このような配植によって少し自然な風景に近づくことができたと思います。



エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化|配植図 コンピューターシミュレーションによる配植図の一部

エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化|レイヤー区分
植栽を複数のレイヤーに分けて検討した

エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化

エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化

エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化

維持管理


エスペック神戸R&Dセンター生物多様性緑化|維持管理
植栽を行った後は維持管理が重要な課題となります。植栽直後は植生が落ち着かないため、様々な雑草(外来種)が生えて来ます。これらについては少なくとも1~2年は集中的な除草を行う必要があります。その後は草刈を中心の維持管理に移行します。今回導入した植物は草刈に強い植物を選択しています。むしろ、定期的に草刈を行わないと植生が遷移して消滅してしまう種類もあります。草刈は植生と景観の維持のため、原則として春、夏、冬の3回行います。畦道ではさらに高頻度で草刈りを行うことで草地の風景を維持することとしています。